著者:mandarinorange

orange mandarin: 今日は事前にお題として出した通り、魔女と魔法、という話題でお話を始めようと思っています。
で、この魔法というのは実はかなりあいまいな言葉で、呪術、魔術、おまじないなど色々な物を全部カヴァーしてしまうような、もっと言えば「それ魔術でも呪術でもないやん!」みたいなものまでひとまとめにしている感じの言葉です。

魔法とか魔術という言葉は元々はmagicという英語の訳で、その訳語に魔法という言葉をあてはめたものと、魔術という言葉をあてはめたのが何となく共存して生き残った、というのが言葉としての歴史です。とはいえ、どうもここ数十年の言葉の使われ方を見ていると、「魔法」が親しみやすい、でも非現実的なもの、「魔術」が恐ろしいもののような感じに使われることが多いようです。

簡単に言えば、
・おとぎ話なら魔法
・ホラー映画では魔術
みたいな感じの使い分けです。

でも、これはあくまでも一般的なイメージで、逆に私らのような魔女や魔術をおとぎ話と考えない人たち用のもう少し違った視点の説明をもう少し続けます。
私たちが使う意味の魔法や魔術という言葉は英語圏ではmagicではなくmagickと「c→ck」、つまり本来の綴りにKを足した形でつづられることが多いです。これはあの有名なアレイスター・クローリーが始めた書き方で、手品、記述などと区別するためにこのスペリングを発明(?)したと言われています。

とりあえず、私は今回色々な魔術などをまとめて「魔法」という言葉を使っていますが、魔法には魔女のものであったり、儀式魔術のものであったり、呪術的民族宗教のものであったりと色々な伝統のものがあります。

ご存知のように儀式魔術の場合は古代の哲学的な魔術体系をルーツに求め、ユダヤ教神秘主義思想である「カバラ」を背景にしたもので、目的も精神の変容、自己の向上、真理の探究などが大きなテーマになっているようです。もちろん、儀式魔術の考え方に基づいた方法論でも現世利益的なものも可能だと思いますし、実際にそういうものもあると思いますが、あまり魔術師にそういう魔術に興味を示す人は多くはない気がします。実際、儀式魔術の本に「恋愛達成の呪術」とかそういうのがメインに出てくる本って私は見た覚えがありません。たとえば恋愛達成法をメインテーマに修行している儀式魔術の魔術師ってある意味凄い感じになってしまいますよねw

それに対して魔女の魔法は儀式魔術と比べてあまり複雑な手順を踏まない現世利益的なものが多いのが特徴です。そして、魔女は自分たちの魔法のルーツを自然を中心とした宗教に求めるので、水地火風はもとより、星、月(月も色々な相)、植物、動物など様々な「自然の力」もしくは「自然に由来する力」をベースに「神や女神への祈り」によって魔法を実践します。

哲学と宗教はどっちもよくわからない人にはあまり違いを感じないかもしれませんが、哲学は理性によるものであり、宗教は理性に感情を加えたものである、というのが大きな違いだと言われています。宗教と哲学の違いはアリストテレスが哲学者の立場からも述べているので、その辺の本を読んでみるのも割とおもしろいと思います。ともあれ、こうした点、つまり哲学的な考え方をベースにしている儀式魔術と宗教をベースにしている魔女という視点で考えれば、以上のような魔法に対する考え方が根本的に違って当たり前なのです。

ただ、宗教の言う理性というのは哲学の言う理性と比べるとかなり厳密性に欠ける気が個人的にはしていますが(^^;

とりあえずここまででご質問などあればお願いします

◆Q&Aコーナー◆

・宗教の「理性に感情を加えたもの」の感情とはどういうものを指すのでしょうか?

orange mandarin: ある意味、哲学というのは情緒を徹底排除して論理だけでものを考える体系ですけど、宗教はその論理を超越することで「唯一の答えが出せない問題」についての回答を提示するものです。

例えば、「生きる」とはどういうことか?「死」とはどういうことか?「幸福」とはどういうものか?など、はっきり言って唯一の答えなんか誰も出せません。だから、哲学では色々な説を色々な哲学者がだし、それでも「結局わからない」というところに落ち着きます。

ところが、宗教はそのわからない部分を神などの人間を超越したもの(魔女ならここに自然も入ります)という考え方を受け入れて、各々に「こういうものである」という回答を導き出すのです。もちろん、宗教によってその回答は異なるのですが、哲学と違って、その回答同士を突き合わせて議論するのではなく、

「どの回答なら信じられるか?」

と、いう非常に感情的あるいは感覚的な根拠で回答を選んでいく、という感じの所があるのです。

まぁ、実際には日本以外の国の多くではその土地による宗教の回答を受け入れるように教育される、というのが多いのではないかと思いますけどね。でも、建前としてはあくまでも「選ぶ」ですから(^^;

・10個目のセフィロトから、さらにその次が流出するような。そんなイメージを抱きました。

orange mandarin: ああ、なるほど、確かにそういうイメージはあるかもしれませんね。その辺の理性を(良くも悪くも)超える力がある、ということをアリストテレスは指摘して「哲学は宗教にかなわない。宗教は哲学の限界を簡単に超えてしまう」というようなことを言っていたわけです。

・なるほど。理性を超える力、界を超える力ですね。

orange mandarin: そうですね。ある意味、アリストテレスって魔術師の人が読むと面白いと思うんですよね。例えば、「ニコマコス倫理学」なんかは結構学ぶところあると思うんですけどね。特にアリストテレスが好ましくなく避けるべきものとしてあげている「獣性」なんかはクローリーの思想と比べてみると、よりクローリーの考え方がわかってくると思うのです。

・「生成と消滅」狙ってた。

orange mandarin: 「生成と消滅」も面白いですよね。あれは池田康男先生の訳が一番良いと思います。他にはいかがでしょうか?

・えっと、「獣性」とは一体何なのでしょうか?

orange mandarin: ああ、それは 獣類の持つ自然本性的なもの、という感じですね。ものすごく乱暴な説明をしてしまえば人間としての思考(思想)活動ではなく獣の衝動と同じレベルに自分から落ちるようなイメージで解説されることが多いようです。

・なるほど!

orange mandarin: これはかなり乱暴な言い方なのと、それをアリストテレスがなぜ悪いものとしたか、などは「ニコマコス倫理学」が岩波文庫からも出ているので、それを読んだ方が良いかもしれないです。

ただ、よほど好きでなければアリストテレスを全部読もうとは思わない方が良いです。あいつ小難しい本を500冊くらい書いているので大変です(^^;

・上下巻で3000円くらいか。

orange mandarin: ああ、今そんなにするんですね。普通の文庫版なら2100円(上下巻)みたいですね。ワイド版だと3000円とちょっと。でも、これは高田訳が結構良い訳なので岩波文庫でよいと思います(ほかにいろいろ高いのもあるけど・・・)

と、なんか話がかなりずれましたが、他にありますか?

・特になし

(◆Q&Aコーナー◆終わり)

orange mandarin: では、続きに行きますー
さて、日本では魔術というと儀式魔術を指す場合が多く、それと区別して魔女の使う魔術を「魔女術」と呼ぶことが良くありますが、これは実は魔女には全く受け入れられていない言葉なのです。もともとは日本の魔術師の現在重鎮になっている方々が、半ば馬鹿にした意味を込めて使い始めて、定着させた言い方なのです。

だから、魔女であるとか、魔女に詳しいと言っている人で魔女術という言葉を使っている人は自称魔女(つまりわかっていない人)か、魔術師など「魔女ではない人」です。

・えーっ、そうだったのですか…
・あらぁ

orange mandarin: なので、ここからさらに拡大してウイッチクラフト自体を指す言葉として「魔女術」などというタイトルの本を出している方もいらっしゃいますが、あの本のタイトルを見た時点で

「この著書は魔女については何もも知らないか、せいぜいが外側から観察しているだけで内部事情を知らない人だ」
ということがはっきりとわかるのです。

百歩譲っても魔女を魔術の下位のものとしてとらえて馬鹿にしているのは間違いありません。

・あぁ。「ローマジック」と呼ぶのは差別的だからいけないよ、みたいな話は聞いたことがありました。

orange mandarin: ええ、あれもそうですね。
ただ、この辺は本物の魔女なのか?自称なのか?ちゃんと勉強しているのか?にわかなのか?という見極めポイントの一つだと言えます。まぁ、私なんかもその辺を知るはずのない素人を相手に話をするときは魔女術という言葉を一応使いますが、それはあくまでも導入部分だけで後から今のような説明をすることにしています。

・ふむふむ。となると、どう呼ぶのが良いのでしょうか?

orange mandarin: 少なくても、魔女術という言葉から入って一生懸命知ろうとしている人もいるわけですから、そこまで否定的になるつもりは全くないと思います。

一番無難なのは「魔女の宗教」「ウイッカやクラフト」あるいは全部を総称して「ウイッチクラフト」、後は楠瀬氏が提唱している「魔女宗」なんかもいいかもしれません。ただ、どうしても日本では儀式魔術の方が先に輸入された、という事情もあってどれもまだ完全定着していないですね。私はウイッカ、ウイッチクラフトを使うことが多いです。上記の4つが今は無難だと思います。

ただ、個人的には私はあまりこだわりありません(^^;

ただ、ここまでわかった上であえて言えば、魔女術という言葉についてこだわったり、こだわらなかったり、というのは良いのですが、わかっている人でもそこまで考えて使っていない場合がほとんどです。でも、この辺は本物の魔女なのか?自称なのか?ちゃんと勉強しているのか?にわかなのか?という見極めポイントの一つだと言えます。

まぁ、私なんかも魔女や魔女志願者ではない人を相手に話をするときは魔女術という言葉を一応使いますが、それはあくまでも導入部分だけで後から今のような説明をすることにしています。


・そうすると、魔女の人たちが使う魔術について話すときはどういう単語になりますか?

orange mandarin: スペル、というのが多いかなぁ・・・あとは「術」とか。
私は「魔法」といって済ませてしまうことが多々あります(^^;
縁のある幼稚園や児童施設などの子供たちからは「魔法使いのおじさん」で認識されていますwww

・魔法、スペルか。なるほど。その辺で行ってみます。

orange mandarin: ついでに先ほど「ローマジック」という言葉が出ていましたが、ここで一つよく言われることについて触れておきたいと思います。儀式魔術を高等魔術、魔女術を低級魔術という言い方をする人がしばしばいます。この言い方をするのはえてして魔術師なのですが、これは明確な間違いであり、勘違い以外の何ものでもありません。両者は全く別の流れのものでありどちらかが高級で、どちらかが低級というような比較ができるものではないのです。

それはちょうど日本酒とワインとウイスキーのどれが高級でどれが低級か、と言い合っているような愚かな発想でしかないのです。どれにも悪酔いするのがありますけどね(^^;

そのたとえで言えば、魔法という言葉はアルコール飲料という言い方に似ているかもしれませんね。

・コンピュータ言語における、高級、低級の区別と同じ意味合いだったら良かったのになぁ。コンピュータ言語の場合、「高級言語はより人間に寄り添った言語」、「低級はより機械に寄り添った言語」という意味合いで、差別的な意味合いはありません。

・orange mandarin: 化学の高級アルコールと低級アルコールもそうですよね。炭素が多いか少ないか、という意味しかないですから。高級アルコール系中性洗剤というのは質の良いアルコール系というわけではなくて、炭素が多いというだけなんですが、消費者の誤解を狙っているのも間違いないですよねww
まぁ、そもそも高級も低級もない訳ですw

orange mandarin: さて、一応ここでは魔術師の方も多いと思うので、儀式魔術との違いを意識した説明を最初にさせていただきました。まぁ、儀式魔術については突っ込みどころ満載かもしれませんが、その辺は間違いがあればご教授ください。とりあえずここまででご質問などありましたらお願いします。


◆Q&Aコーナー◆

・魔女の魔法は「自然の諸力を通じて神などの助力を頼む術」みたいな感じで考えればよいのでしょうか?さっきのコンピュータ言語の例で考えれば「より自然の諸力に寄り添った魔法」みたいな?

orange mandarin: ああ、大きな間違いはありません。ただ、かなり浸透に近い呪術性がありますけどね。

・魔女術=妖術という書き方をしている本もありましたがそれはどうなのでしょう?

orange mandarin: 妖術というのはもともとは「よくわからない術」という意味からきていますよね。なので、ごった煮にされている、というのが一番現実的な感じかと(^^;
そもそも妖術は信仰とかそういうものも何もいらないものを指す場合が多いですしね。なので、考え方に必ずしも神や女神がかかわる必要すらないですし、実際に妖術と呼ばれるものには神も女神も出てこないものが多いです。

あと、witchcraftという言葉と日本語の妖術が結びついたのには、日本に布教にやってきたキリスト教徒による偏った解説からきているというのも事実です。

そもそも、そういうよくわからないものを受け入れるということに対しては日本人は割と寛容だったので、呪術、妖術、、、とある意味何でもアリで、どれも意味が重なっている部分がある、というのが現実なんですよね、日本語の特質とも言えますね。

・すぐいろんなものを混ぜにかかりますものね。

orange mandarin: で、それにあまり違和感を感じないですよね、多くの日本人は。
でも、ここからはあくまでも私の個人的な感覚すぎないのですが、私はこうしたごった煮の状況の言葉の中に本質が隠れているのは必ずしも悪くないと思っているところがあるのです。

魔女は宵闇に紛れるものですしね。
言葉の森に真実の姿を隠すのも一興かな?と。

他はいかがでしょうか?

・言葉がまとまってない感じがするけど。魔女の術というのは、難易度や祈る対象によってランク付けみたいなのってあるんでしょうか?

orange mandarin: 一律的なものはないですね。ただ、状況によって難易度が同じものでも大幅に変わることがあります。あとは、上級者用と初心者用のようなものはあります。そういう意味では難易度のランクは学んだり、使いこなすという意味で言えばあります。

例えば、100のケースがあったとして、
初心者は100通りの術を使う。
中級者は50通りの術で対処する。
ベテランは1つか2つ、せいぜい3つくらいの術で全部に対処する。

そういう差はあります。道具も同じことが言えます。一例で言えば同じキャンドルマジックを考えても、初心者は何種類ものキャンドルやインセンスを組み合わせます。中級者は初心者の半分くらいの種類ですます。ベテランは白いキャンドル1本と一つのオイルと2~3種類のインセンスで全部すます。という例が上げられます。
まぁ、ベテランでも趣味の問題で色々コレクターと化している人もいますけどねww

あとは呪文です。
上級者ほど道具立てなどより呪文にウエートが移っていきます。極論で言ってしまえば、魔女のスペルは呪文だけでもなんとかなります。ただ、実際に呪文だけ、というのはかなりの上級者ですけどね。そういう上級者でもキャンドルとかインセンスくらいはあったほうが絶対楽ですし、効果も強くできます。

では、いったんここまでにして、もう少し先に進みます。もしご質問があれば、この続きと合わせて、にしていただけると助かります。

(◆Q&Aコーナー◆終わり)

orange mandarin: さて、本来の魔女の魔法は先ほどもお話ししましたように自然を中心とした宗教とその宗教における祈りをベースにしています。

そもそも魔法というものは人それぞれ定義ができてしまうくらい結構曖昧な言葉なのですが、私はここでは「見えない法則や祈りなどによって現実に影響を及ぼすもの」というくらいのイメージで定義しておきたいと思います。

つまり、簡単に言えば、キャンドル灯したり、お香焚いたり、呪文を唱えたりというような行為で現実に変化を起こすもの、という感じでです。

・確かにそうですよね・・・高位階の人たちは、道具いらないですものね

orange mandarin: そうですね。
ともあれ、厳密性とかを全く抜きにした私個人の感覚だけで言えば

「魔法とは普通人間にはできないことをやる方法」

という感じです。(ああ、もっと身もふたもない言い方のような気がする・・・)

でも、古来よりの魔女たちが求められていたのもその辺だったんだと思います。で、そこから派生してくるもう一つの魔女の魔法の大きな特徴をお話ししたいと思います。それは

「魔女の魔法は魔女でなくても(一般の人でも)使えるものが多いという事実」

です。逆に言えば、魔法を使えるようになりたいから魔女になる、というのは全く必要ない話、ともいえるのです。

これはある意味当然なのです。もともとが「何でも相談屋」として機能していた村の魔女のような(ある意味超局地的)民族宗教からできたものなので、村の人が「困った時に(困った時だけに、という意味が強いですね)」相談にやってきて、教えてもらって帰るわけですから、専門的な魔女でなくてもできるものが多くなってくるわけです。

もちろん、教えてできるものだけではどうにもならないこともあるので、そういう場合は魔女自身が術をかけたりするわけです。でも多くは方法を教えて、そこで必要な特殊な材料や道具を必要な分渡して、というケースだったのではないかと思いますし、色々な記録や伝承からもそれは推測できるようです。

と、魔女の魔法についてのあらまし、というとこんな感じでしょうか。ご質問などあればお願いします。


◆Q&Aコーナー◆

・となると、昔なら祭祀の伝授者としての役割が有ったわけですが、今、魔女を目指す人ってどうして魔女なんでしょうね。話がずれますけども。

range mandarin: ああ、それは魔女になる人たち各々が自分で出していかないといけないものなんですよね。こう言い切ってしまうとそれこそ身もふたもないので、もう少し続けると、多くは「その道にひかれたから」というのがあると思います。ただ、その魅かれ方、引かれ方はそれぞれですよね。
あと、これはよく外国人に私たちが聞かれることに「日本には高度に呪術的な民族宗教である神道があるのに、なぜwitchcraft (あるいはwicca)なのだ?」というのがあります。その答えとして、どうしてこの道に魅かれたのか?ということを自分の言葉で言えるようにしておくことは自分の立ち位置をはっきり自覚する意味でも大切だと思います。
私の場合、という一例しか上げられませんが、私の場合は、色々な宗教を学んできた中で、一番自分がしっくりとしたということと、縁があったこと、そしてコールされたから、と答えています。あまり明快な答えになっていなくて申し訳ありませんが(^^;

ただ、ある意味「なぜキリスト教徒になったのですか?」「なぜムスリムになったのですか?」「なぜ仏教徒になったのですか?」などの質問に似たものが本質にはあると思います。

ただ、これはとても大切ですし、一度自分なりの答えを出したらおしまい、ではなくて何度も問い直す必要があるものだと思います。

・国際結婚じゃ! と言い切った根性のある輩もいますが、好きになってしまったものは仕方ないかと・・・(苦笑)

orange mandarin: うん!結局そこですよね!

(◆Q&Aコーナー◆終わり)


orange mandarin: 先ほど私は「魔法とは人が普通はできないことをするもの」という言い方をしましたが、この考え方は魔女の技術を考えるときに非常に便利な考え方なのです。例えば、私たちは明日の天気や台風の移動状況を天気予報などで知る事ができます。これは人工衛星やそれによってもたらされる大量のデータ、それに基づく統計的な考え方等々が気象学によってまとめあげられ、その結果を聞いているわけです。それでも、外れますよね?

ようするに、人間にとって「未来を知る」ということは結局できない相談なのです。それができるとすれば神様とか、人知を超えた存在に限られるわけです。でも、知りたいのが人情というものです。まぁ、人情でなく、もっと深刻に知りたいことは人間生きていれば多いでしょう。そこで「未来を知る」という「人間にはできないこと」をするのが占いである、という考え方が出てきます。

そこから、魔女にとっての占いは「予知魔法」だという考え方が出てくるのです。なので、魔女にとって占いというのは単なる先読みを超えた「予知を中心とした魔法」という位置付けになります。これは予知に限らず「普通人間にはしることができないものを知る」という魔法だとも言えます。

魔女は占いの技術を学びますが、それは魔法の一つとして学ぶのです。少なくても、古い魔女たちはそうでした。今の魔女は色々な考え方があると思います。でも、その考え方は色々なところで意識されていない部分でも残っていると思いますし、私のように、それをしっかりと叩き込まれて育った者もいるわけです。なので、やはりこの発想が完全に廃れることはないのかな?と思いますし、そう考えた方が魔女の占いを理解するのには良いベースになると思います。結局、

「魔女の占いは魔法の一種であると同時に、非常に実用的なものである」

という考えを持っている、とまとめても問題はないと思います。

と、そういうことで、魔女と魔法~魔女と占いというテーマを考えていたのですが、この魔女と占いについては量的にも次回にすることにしたいと思います。(おお!次回予告っぽい!)

◆Q&Aコーナー◆

orange mandarin: 占いについての細かい点は別として全体を通してでも結構ですのでご質問などありましたらよろしくお願いします。

・魔女の術で、現世利益とは関係ないものってあるのでしょうか?

orange mandarin: 現世利益と関係ないものも、もちろんあります。

結局魔法って最後は論理を超えた論理、そうしたものを超えた感覚というのかなぁ・・・うまく言えないけど・・・

・そこに帰ってくるのですね>論理を超えた論理

orange mandarin: ええ、そうだと思います。人間ができないことをしようというわけですから余計なのかもしれませんけどね。しようとするのと、できるというのがまた微妙な温度差があるといえばあるんだけど・・・
ちなみに現世利益と関係ない術というのは祝祭などに隠されている部分が多いかもしれません。

ウイッカでは、季節の祝祭の中に神と女神の象徴をモチーフにした寸劇のようなものを取り入れているところが多いですし、クラフトの魔女も祝祭の中に特殊な祈りなどが入っています。これらは現世利益とはかなり性格が異なったものであることが多いです。その寸劇は神話劇と呼ばれることもよくあります。

・なんか儀式魔術っぽい。

orange mandarin: ええ、その辺はウイッカが儀式魔術の影響を受けている部分だと思います。
伝統的クラフトだと、ダンスやゲームに象徴を隠している場合が多いんじゃないかなぁ・・・
ダンスやゲームなら魔女狩りに逢う危険が少ないですからね。
「ダンスしてる!魔女だっ!」とか「ゲームしているなんて魔女に違いないっっ!」とかはないでしょ?

たぶん、そういう流れみたいなのはあったと思うのですが、魔女と占い用カードって歴史的にはつながり薄いんですよね・・・
その辺はわからないことが多くて。

その辺はちょっと手元の資料をもう一度ひっくり返して次回ちょっと触れようかとは思っています。ただ、あまりないんですよね、資料自体が。

(◆Q&Aコーナー◆終わり)

まぁ、とりあえず、ここまでの話としては出尽くした感がありますので、次回は「魔女と占い」をテーマにさせていただこうと思います~